宮城県耳鼻咽喉科医会からのお知らせ

2018年のスギ花粉の対策

 今年もスギ花粉の季節を迎えます。昨年の仙台市の総飛散数は1689個と少量飛散でした。
 すでにメディアでは全国的に大量飛散と予想されていますが、仙台市とその近郊のいくつかの基準となるスギの木を観察してみると、いずれも花芽の着花状況は少なくメディア情報と異なっています。昨年8月の長雨による日照不足が影響していると考えられ、今年の仙台市を含めた県内のスギ花粉の飛散量は平年よりやや少ない見込みです。

 飛散開始は2月中旬以降となりますが、暖かい日が多いと早まる可能性もあります。また、飛散期間が長い年もあり、昨年は5月2日までスギ花粉が飛散しました。シーズン終盤に花粉が減ってきても、これで終わったと思わないで治療を継続しましょう。花粉情報のチェックも忘れずに。

 スギ花粉症は三大症状のくしゃみ、鼻水、鼻づまりと並んで目のかゆみ、喉の症状、そして睡眠障害、倦怠感、集中力低下を招きます。いつも通り初期療法、セルフケア(マスク、ゴーグル、スプレー、空気清浄機)、こまめな花粉情報のキャッチなど充分な対策をとりましょう。

 飛散が始まりクリニックが混む前にお薬を処方してもらい、服薬開始時期は主治医の指示に従うと良いでしょう。スギ花粉症の舌下免疫療法を実施中の方も、飛散期間中の適切な併用薬の選択をしてください。舌下免疫療法は3~5年の治療期間を要しますが、今年で4年目を迎える患者さんがそろそろ出てきます。治療の終了時期には熟慮が必要ですので主治医とよく相談し、自己判断でやめてしまわないよう注意してください。これから舌下免疫療法を検討している方は、効果や副作用の面から、スギ花粉のシーズン終了後からとなります。

スギ花粉症の基礎知識
     
  • スギ花粉の吸収を原因とする季節性のアレルギー性鼻炎です。
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  • 戦後、建材・治水を目的に全国に植林されたスギ林が成熟し、毎年大量の花粉を 飛散するため患者数が急激に増加してきました。
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  • 自然寛解が少なく患者数が年々累積され、現在では有病率15%程度と推定されていて、さらに増加傾向にあります。
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  • 主な症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみです。
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  • 年齢層別では中年層で有病率33~39%と高いですが、近年は高齢者の新規発症や、逆に発症の低年齢化が注目されています。

 文章 中林耳鼻咽喉科 中林成一郎先生