宮城県耳鼻咽喉科医会からのお知らせ

2011年のスギ花粉の対策

メディア等でおわかりのように本年はスギ花粉の大量飛散が予想されます。仙台市の本格的な飛散開始は低温の影響で例年よりやや遅い2月末前後になる見込みです。大量飛散のシーズンではスギ花粉症の方が対策なしで飛散のピークを迎えますと、大変つらいことになりますので初期療法を強くおすすめします。 東照宮のスギの木を観察すると、やや小粒ながら大量の花粉の花芽を認めました。日当たりの良い南側、枝の重ならない上の方に茶色く変色する程花芽が育っているのが観察されます。

スギ花粉症の基礎知識
     
  • スギ花粉の吸収を原因とする季節性のアレルギー性鼻炎です。
  •  
  • 戦後、建材・治水を目的に全国に植林されたスギ林が成熟し、毎年大量の花粉を 飛散するため患者数が急激に増加してきました。
  •  
  • 自然寛解が少なく患者数が年々累積され、現在では有病率15%程度と推定されていて、さらに増加傾向にあります。
  •  
  • 主な症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみです。
  •  
  • 年齢層別では中年層で有病率33~39%と高いですが、近年は高齢者の新規発症や、逆に発症の低年齢化が注目されています。
初期療法

鼻アレルギー治療ガイドラインで推奨されている治療法です。

【対象】
例年の症状が重症の方(必要性が高いです)、軽症例でも軽く済ませたい方

【薬剤の選択】
1.例年の病型(くしゃみ・鼻水タイプ、鼻づまりタイプ、全ての症状があるタイプに分けられます)、重症度(軽症、中等症、重症、最重症に分けられます。)
2.過去の経験で有効だった薬剤
この2点を参考に薬剤を決定します。
初期療法に適した薬剤で主なものは下記のようになります。
[1]第2世代抗ヒスタミン薬、[2]抗ロイコトリエン薬、[3]Th2サイトカイン阻害薬

【開始時期】
1.例年の症状が重症の方では飛散開始予測日の2週前、軽症の方では症状発現したら直ちに内服を始めます。
2.薬剤により開始時期が少し異なります。第2抗ヒ薬は飛散開始予測日又は症状発現時で良いですが、抗ロイコトリエン薬やTh2サイトカイン薬は薬理作用から考えて2週前からの内服が必要です。

ステロイド点鼻薬

国内では内服薬による治療が主体ですが、ステロイド点鼻薬はアレルギー症状全般に効いて、副作用も少ない優れた薬剤です。効果が表れるのは早いのですが、ピークに達するのに2週ほどかかります。

ステロイド点鼻薬Q&A

重症例に使うのですか?
軽症例では単独使用、中等症以上では内服薬との併用になります。症状が強くなる前に使用した方が効果を発揮します。
初期療法に使いますか?
大量飛散年では、内服薬との併用で有効です。通常の飛散量では使用しませんが、薬理作用は初期療法に向いています。
妊婦や小児には?
妊娠により花粉症が増悪することがあります。妊娠5カ月以降で、症状が重い場合に使用(有益性投与)します。小児用の製剤があります。適応には成人より少し慎重に決めます。
2番手の治療?
正しい使用法で充分な効果が得られます。頓用ではありません。ARIAガイドラインで(世界基準のアレルギー性鼻炎の治療法)ではステロイド点鼻薬が第一選択です。全身性の副作用少なく、連用もできます。しかし、原則として長期連用せずに使用する薬剤です。

中林耳鼻咽喉科 中林成一郎先生